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 山形市七日町2丁目に補聴器専門店「補聴器本舗やまがた」を構える庄司渉さん

(50)は、前職でも補聴器を扱っていたが、思うような効果が出ずに装用をやめる人を多く見てきた。期待が大きかった分、失望も大きかった。その中でデンマーク製、補聴器に出会い、「この魅力を伝えたい」と考え起業した。


 日本の補聴器装用率は先進国の中で最下位だ。「格好悪いというネガティブなイメージがあり、聞こえづらくても装用しない人は多い。難聴が進んでから装用しても効果は薄い」と庄司さん。聞こえづらい会話はストレスがたまり生活に支障が出るが、早期装用は認知症の予防にもなる。先のデンマーク製の補聴器は雑音や余計な音は省き、聞きたい音にスポットを当てるため、脳が疲れないという。

  店はアズ七日町の向かいで七日町大通りに面する。補聴器装用の多い高齢者が来店しやすいように、公共交通機関の整う現在地を開業地に選んだ。また交通量が多く、ある程度の騒がしさもあり、客に補聴器の効果を実感してもらうのに最適な場所という。店内は補聴器の効果を試す音響装置や聴力力を測定する防音室がある。山形建具に使われる組子も配置し、入りやすい雰囲気をつくった。

開業に当たり、名古屋市発祥の補聴器本舗グループの協力店となった。既に豊富な実績を持つ同グループの傘下に入ることで、仕入れが有利になり、返品時の負担も軽減。スムーズな起業、経営に繋がった。

 創業時は「やまがたチャレンジ創業応援事業」の助成金を受けた。さらに、山形市売上増進支援センター「 Y-biz」の指導、助言も受け、体験会で市民に補聴器効果を実感してもらう機会を設けた。そこで体験し、来店する人も多い。

庄司さんは、「補聴器には底知れない可能性がある。聴覚が改善するだけではなく、高齢者や難聴者を前向きにさせる効果もある。」と指摘する。まずは補聴器のネガテイブイメージを拭い去ることに力を注ぎ、福祉業界も視野に入れる。

「補聴器を通じ、生きる楽しさや喜びを提供できる店でありたい。」と語る。      

                                                                                                               (菅原武市)

ーメモー

【補聴器本舗やまがた】

補聴器の専門店として2017年9月オープン。

1個1万9800円の日本製から1個23万円のデンマーク製まで幅広い商品をそろえる。

営業時間は 月ー金が午前10時〜午後5時、土曜日が午前10時〜午後3時。

店舗所在地は山形市七日町2の1の2。

電話は 023(687)0141。


                                                                                                                   2019.917 転載申請許可